開業費の仕訳
開業費とは
開業費の範囲・具体例
個人事業を開業する場合、開業日までの数ヶ月間準備が必要です。準備期間に店舗を借りたり、什器・備品を揃えたり、電話を引いたり、開業日に合わせて広告を打ったりと相応の出費が発生します。開業前に要した費用の内、次の費用は開業費として経費に認められます。
●店舗・事務所の賃借に関わる費用
但し、保証金や敷金は将来返金されますので経費にはなりません。
●物品購入、仕入、打合せのための交通費
●文房具やソフトウェア等事務用品消耗品費
●士業関係者開業指導の打合せの飲食費
●取引先・士業関係者訪問時の菓子折り代
●開業挨拶状発送費、打合せ電話代等の通信費
●チラシ作成費用、ホームページ作成等広告宣伝費
●書籍などの資料代
●従業員の給与
●電気、ガス、水道料等水道光熱費
●許認可に要した費用
開業費の相手方勘定・伝票の日付
開業費の相手方勘定は、元入金または事業主借になります。元入金及び事業主借は出資金で、法人でいうところの資本金です。法人の資本金は、多数の人から出資を募るのに対して、個人事業の場合は一般に事業主=出資者の1名になります。
相手方勘定については、元入金でも事業主借のいずれでも構いませんが、元入金の方が、いかにも出資した感じがしますが、元入金で処理すると、余分な作業が発生しますので、ここでは事業主借で処理する方法で案内します。
伝票の日付は、実際の領収書の日付では無く、全て開業日で起票します。本来は、費用は全て個別に仕訳しないといけないようですが、管理人の場合は、当初個別に入力して青色申告会に持ち込んだところ、一括で計上処理するように変更されました。但し、一括で処理を行った場合でも、経費支出の根拠となった領収書等は確実に一緒に保存しなければなりません。
開業費の経費処理
開業費は、計上した段階で繰延資産となります。開業費の経費算入は、一般的には償却期間5年の定額法(60ヶ月の均等処理)で開業費償却または繰延資産開業費償却として経費に算入しますので、初年度は、端数月数分を期末に計上します。ソフトによって、開業費償却または繰延資産開業費償却の勘定科目が無い場合は減価償却で処理します。
青色申告の場合は、任意償却することも出来ます。いつでも、好きな金額を償却することが出来ます。初年度は、創業赤字になるので、2年目、3年目に一括処理したり、利益の大きい年に焼却したりできます。
開業費の仕訳
開業日の仕訳
開業費は、費用の科目では無く資産の科目です。償却するときに経費として計上されます。
金額 | 借方科目 | 摘要 | 貸方科目 | 金額 |
2,400,000円 | 開業費 | 開業費繰延資産計上 | 事業主借 | 2,400,000円 |
ー | ||||
2,400,000円 | 合計 | 2,400,000円 |
年度末の仕訳
3月1日に開業したものとして経費算入した場合
金額 | 借方科目 | 摘要 | 貸方科目 | 金額 |
400,000円 | 開業費償却 | 開業費経費繰入 | 開業費 | 400,000円 |
ー | ||||
400,000円 | 合計 | 400,000円 |