固定資産の減価償却の方法

減価償却とは

減価償却とは、長期に渡って使用できる有形の固定資産を取得した費用について一括で経費として計上するのではなく、数年にわたって分割して計上する仕組みのことで、償却できる期間は法定耐用年数として物品別に定められています。

償却の方法は、定率法と定額法が有りますが、法定の償却方法は定額法で、定率法で減価償却を行いたい場合は、予め確定申告提出期限までに「所得税の減価償却資産の償却方法の届出書」を提出しなければなりません。なお、減価償却費は、減価償却資産の取得価額のうち当期に経費となる費用です。

固定資産の勘定項目

減価償却の対象となる固定資産は、有形固定資産と無形固定資産に分けられます。 有形固定資産に該当するものは勘定科目では、事業用の建築物は「建物」、自動車等の「車両運搬具」、パソコンやファックス類の「工具器具備品」他です。

また、無形固定資産は「ソフトウェア」、「営業権」、「特許権」、「ソフトウェア」「電話加入権」「借地権」が有りますが、市販の「ソフトウェア」は10万円以下と思わけますので減価償却は行わず「消耗品費」で処理できます。また、電話加入権」「借地権」は固定資産であっても非減価償却資産です。

青色申告に適用される減価償却の特例

国税庁のホームページから抜粋し役所言葉は理解し難いので分かり易く加筆修正すると次の通りです。

特例の概要

中小企業者等(青色申告事業者を含みます)が、取得価額が30万円未満である減価償却資産(の対象となる固定資産)を平成18年4月1日から平成30年3月31日までの間に取得して事業で使用した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額(一般管理費すなわち経費)に算入することができます。

摘要対象固定資産

取得価額が30万円未満の器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象減価償却資産で、少額減価償却資産の取得価額の合計額300万円が限度となります。

適用要件

この特例を受けるためには、取得した事業年度に、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告することが条件となります。

取得価額毎の資産計上と経費処理

取得価額10万円未満

消耗品費で処理します。

取得価額10~20万円未満

次の三つの経費処理の中から選択して処理します。
減価償却資産 ・・・耐用年数で定額法による償却
一括償却資産 ・・・3年間で均等償却
小額減価償却資産・・・取得年度に一括償却

取得価格20~30万円未満

次の二通りの経費処理から洗濯して処理します。
減価償却資産・・・耐用年数で定額法による償却
小額減価償却資産・・・取得年度に一括償却

取得価格30万円以上

減価償却資産・・・耐用年数で定額法による償却

※取得価額は、パソコン本体とディスプレイの様に本来一体として使用するものは、別々の場所で購入しても一体物として合計しますので、取得価額の計算には注意が必要です。

取得方法・取得状態による経費処理

中古の購入

中古資産を取得して事業用に使用した場合には、その資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、事業用に使用し始めた後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。

ただし、その中古資産を事業に使用するため購入した金額が同じ物品を新品で購入する場合のの50%に相当する金額を超える場合には、耐用年数の見積りをすることはできず、法定耐用年数を適用しなければなりません。
法定耐用年数をすでに超えたものを購入した場合
法定耐用年数×20%=その資産の耐用年数
法定耐用年数を一部超えたものを購入した場合
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%=その資産の耐用年数

なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。
つまり、耐用年数を計算して2年未満だったら一律で2年で、計算上端数が生じた場合は切り捨てして整数にして下さい、ということです。結局は、3年未満は2年、3年以上は整数値が耐用年数です。

事業と家事の併用

個人事業主の中には、固定資産を事業用と家事用とで併用している方もいるかと思います。 その場合の減価償却は、水道光熱費等の他の経費処理と同様に事業用と家事用に使用割合応じて按分し事業用に使用している割合が減価償却の対象となります。

減価償却資産の売却

減価償却資産を売却した場合は、売却したときまでの期間が減価償却の対象となります。ただし、建物などを除く有形固定資産は、売却した年の減価償却は省略しても良く、 省略した減価償却費は、譲渡所得の取得費として必要経費に計上できます。

減価償却資産の廃棄

固定資産が耐用年数以内に壊れてしまうことがあります。修理が不可能で、その固定資産をを破棄する場合、帳簿から削除できます。壊れた物をそのままにしておくと資産として残っていると判断されることがありますから、壊れたら速やかに資産から削除して廃棄処分することで、「除去損」という費目で経費として計上することが出来ます。