送料の仕訳-2ーECサイト及び広告媒体からの販売

ECサイト及び広告等による通販売上時の送料の仕訳

運営しているネットショップから注文を受けたり、また広告を媒体として電話やファックスで注文を受けた場合の送料の仕訳は、次の通りに行います。

送料を実費で受領

送料を実費で請求して送料を受領する場合は、売上には含めず購入者が支払った送料を預かり、購入者に代わって運送業者に支払ったものと考えると次の通りの仕訳になります。預かった送料を売上に含めない場合は、消費税の節税に繋がります。

消費税は利益の有無に関係なく売上金額に対して課税されるため、売上の8%の税率でも場合によっては利益の50%とか全額を持っていかれること有り得ます。そのため、送料を売上と分離するのは節税効果が高く利益の確保に繋がります。
しかし、別記の「amazonで販売し自己発送する場合」と同様に売上として計上し、送料を「荷造運賃」として仕分けすることも可能です

代金受領後の発送の場合

販売代金と送料を受領したのち発送する場合の仕訳です。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
6,050円 普通預金  ネット注文分入金 3件 預り金 6,050円
6,050円 合計 6,050円

その後、商品を発送した段階で次の通り仕訳します。

預り金を売上に充当した場合の振替伝票

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,000円 預り金  ネット売上 3件 売上 5,000円
5,000円 合計 5,000円

預り金で荷造運賃を支払ったときの仕訳

勘定科目 支払先 摘要 金額
預り金  ○○郵便局 ネット売上分発送 1,050円

代金受領前に発送する場合

お得意様や取引先等へ注文後すぐに発送することが有り得ますが、その際の仕訳です。

売上の売掛金処理の振替伝票

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,000円 売掛金  ネット売上 3件 売上 5,000円
5,000円 合計 5,000円

現金で支払った送料の出金伝票

勘定科目 支払先 摘要 金額
立替金  ○○郵便局 ネット売上分発送 1,050円

その後、普通預金に入金が有った段階で次の通り仕訳します。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
6,050円 普通預金  ネット売上 3件 売掛金 5,000円
 送料立替分入金 立替金 1,050円
6,050円 合計 6,050円

送料を定額で受領

送料を定額で請求する場合は、受領する送料によって実際の送料よりも多い場合と少ない場合が生じます。受領金額が実際の送料よりも少ない場合は、不足分を販売者が負担したということで処理は出来ますが、逆の場合は剰余金が発生します。

送料として支払ってきた分の一部だけを売上とする方法と差額を雑収入とする方法が考えられますが、いずれの方法も問題が残り、後者の場合は税務調査で消費税の過小申告を疑われることも有り得ます。

そのため、全て売上として計上し、実費の送料全額を販売者が負担する形で仕訳する例を示します。なお、売上とすることに納得出来ない場合は、税理士もしくは所属の青色申告会等にご相談ください。

代金受領後の発送の場合

販売代金と送料を受領したのち発送する場合の仕訳です。送料は、1件300円の定額とします。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,900円 普通預金  ネット注文分入金 3件 預り金 5,900円
5,900円 合計 5,900円

その後発送した段階で次の仕訳を行います。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,900円 預り金  ネット売上 3件 売上 5,900円
5,900円 合計 5,900円

及び送料の出金伝票を起票します。

勘定科目 支払先 摘要 金額
荷造運賃  ○○郵便局 ネット売上分発送 900円

なお、入金と発送が同日の場合は次の通りとなります。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,900円 普通預金  ネット売上 3件 売上 5,900円
5,900円 合計 5,900円

この場合も「荷造運賃」の出金伝票を起票します。

送料受領前の発送の場合

送料を受領する前に発送した場合の仕訳です。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,900円 売掛金  ネット売上 3件 売上 5,900円
5,900円 合計 5,900円

同時に送料の出金伝票を起票します。

勘定科目 支払先 摘要 金額
荷造運賃  ○○郵便局 ネット売上分発送 1,050円

そして、入金が有った段階で次の仕訳を行います。

金額 借方科目 摘要 貸方科目 金額
5,900円 普通預金  売掛金入金 売掛金 5,900円
5,900円 合計 5,900円

送料ビジネスの問題点

いわゆる「送料ビジネス」といわれる、商品を格安で販売し高額な送料で利益を得る商法は、販売価格だけを売上として計上し、支払われた送料相当額を「預り金」、「仮受金」または「立替金」等で処理し、実際の送料を「荷造運賃」で経費として計上、そして差額を期末に雑収入とすることで消費税の課税対象外とする方法で違法の可能性が有ります。

ネットオークション及びネットショップのいずれの販売にしても、税務署から監視されていますので必ずバレてしまいます。毎年消費税を支払う分には負担は軽減され、なんとか支払うことが出来たとしても遡及年数分(法律に定めは無く最低3年、通常5年、最長7年と見るのが一般的)と延滞税、加算税を一括で請求されれば支払うのは難しくなります。

なお、送料ビジネスは新しいビジネスモデルを謳ったBOOKOFFを利用する新商法とする高額塾が有りますが、実務上全く不可能な商法ですので絶対に入塾されないことをお勧めします。

送料ビジネスの仕訳は省略させていただきます。