青色申告に必要な複式簿記の習熟レベル
複式簿記の知識レベル
確定申告をする際に青色申告で申告する場合は、複式簿記で記帳して会計記録を残さなければいけないのは、先述の通りです。前職で会社の経理や総務を担当していた方はある程度理解しているでしょうし、また、商業高校を卒業されてた方も簿記の資格は持っているでしょうから困ることは無いと思います。
今まで、全く簿記に携わったことが無い人が複式簿記で記帳し青色申告が出来るかというと、結論から言えばまったく問題ありません。個人事業主に必要な簿記のレベルは、該当する資格として商業簿記といわれる日商簿記3級が目安でしたが、簿記4級でも十分に対応できます。
簿記3級は、合格率26~54%程度と幅が有りますが、平均すれば40%程度、簿記4級は略安定的に40%程度です。半数以上の方が不合格になっていますが、青色申告申告が出来るレベルはこれよりグーンと下がります。
簿記3級の知識が不要な理由
理由は、次の通り試験問題・環境と実務との乖離に有ります。
電卓の使用の有無
まず、簿記試験は電卓を持込み計算をします。しかし。現在実務では会計ソフトを使うので複合仕訳の場合を除いて電卓を使う必要はありません。簿記の試験は、電卓がうまく使えないと合格しないといわれています。
試験は時間に制限がある
また、試験は時間の制約を受けます。電卓の使い方を含め時間の使い方が重要になってきます。時間が足りずに配点の大きい5問が解け切れずに不合格ということは十分に有り得ます。実務では時間が無いということで作業をしないということは有り得ません。時間が掛かっても、翌日でも仕訳・起票入力をすることが出来ます。
実務での難問はソフトが解決
また、配点が大きい3問と5問は、試算表、清算表もしくは財務諸表の作成に関する問題ですが、実務では全てソフトがやってくれますので、必要ですが差し当たっては出来なくても大丈夫です。
実務との乖離ー使わない仕訳
さらに、簿記試験と実務との乖離の問題も有ります。特に、ネットビジネスでは借入金や貸付金の取引はまず発生しません。また、従業員がいなければ給与・厚生費に掛かる仕訳も発生しないでしょう。手形・小切手に関する問題も出ますが、手形・小切手の交換枚数はピークが1970年代で、現在ではその当時の1/9程度まで落ち込み、特に直近10年に限れば1/4に減少していますし、ネットビジネスで取引に手形を振り出すことも無いと思われますので、手形・小切手の知識や仕訳の方法は必要ありません。
必要な簿記知識習得方法
税務署に「開業届」を出すと、税務署から記帳指導案内が届きますので、受講して、不足する知識を本で勉強するか、資格学校で10,000円程度の講座を受講すれば十分だと思われます。
さらに、商工会や青色申告会に加入すれば記帳指導も受けられ、電話で分からない仕訳を教えてもらうことも出来ますし、さらに、確定申告書も作成してもらえます。
以上のことから簿記3・4級レベルの知識は必要ありません。
但し、会計ソフトを使わずに手書帳票で記帳を行う場合は3級程度の知識は必要になりますし、各勘定の残高に整合性が無い場合に原因を調べる必要がある場合は、簿記3・4級の知識は役立つと思います。